はじめに
個人事業と株式会社ではどんな違いがあるのか?
予備知識として法人格について説明いたします。
法人格と責任
個人事業では事業主個人が権利義務の主体として、すべての責任を負います。
例えば、個人事業主が借金をした場合、返済義務は事業主が全て負うことになります。
一方、株式会社では「法律上の人格」が認めらた法人が権利義務の主体としてすべての責任を負い、事業主個人は経営上の責任のみを負います。また、事業主個人が出資者(株主)である場合は、出資額を限度といた責任を負います。
この法人格によって、賃貸借契約も法人名義で契約できますし、法人が負債を抱えたとしても、それは法人の負債であり事業主個人の負債ではなくなります。
このように、法人と事業主個人の責任を分けることで事業主個人の財産を守ることができます。
財産の区別
個人事業の場合、事業用財産と個人の財産に区別がありません。
一方、会社は法人として株式会社の名前で物を買ったり銀行口座を開いたり事業主の財産とは明確に区別されます。
会社の財産を事業主が私的に使うことができませんし、事業主の財産を会社が勝手に使うこともできません。
他方で事業主個人の負債を会社の財産で支払うことはできませんし、会社の負債を事業主の財産で支払う必要もありません。
そのため、会社での事業が失敗したとしても個人の財産を守ることができます。
これが個人事業の場合、無一文になるまで債務を弁済しなければなりません。
保証人
上記のように、株式会社の負債を事業主個人が負わなくていいといっても、実際には事業主が株式会社の保証人になる場合が多いです。
株式会社と事業主が別の権利主体であることから、契約者は株式会社、保証人は事業主個人という契約が可能となります。
保証人になると、株式会社が借り入れの返済をできなくなった場合、事業主がこれを弁済しなければなりません。
株式会社にすることによって事業主個人の責任が限定されるといっても、株式会社の保証人になってしまえば責任の面でのメリットはなくなります。