はじめに
新会社法が施行されて、株式会社を設立する要件が大きく緩和されました。
以前は有限会社を設立するにも最低300万円の資本金が必要でしたが、今は最低資本金制度もなくなり有限会社以上に株式会社の設立が簡単になりました。
そこで、どのように株式会社の設立が簡単になったのかをご紹介します。
・取締役は1人でいい
・資本金は1円あればいい
・役員任期は最長10年にできる
・会社の種類
取締役は1人でいい
株式会社は株主1人と取締役1人いれば設立できます。
つまり、あなたが発起人として株式会社を設立し株主となり、同時に取締役に就任すれば株式会社を設立できます。
もし取締役会を設置する場合、取締役3人以上と監査役1人の最低4人が必要になりますが、事業を始めたばかりであれば意思決定が迅速に行える1人株式会社の方が運営しやすいので特に取締役会を設置する理由がないなら必要ないと思います。
資本金は1円あればいい
資本金とは「会社の財産を確保するための基準となる一定の金額」です。
以前は最低資本金制度というものがあり株式会社では最低1,000万円、有限会社でも最低300万円を準備する必要がありました。
しかし、新会社法では最低資本金制度は廃止され資本金の額は自由となり1円からでも株式会社が設立できます。
もっとも、実際のところ、本当に1円で株式会社を設立することはあまりお勧めしません。
資本金は会社の財産を確保するための基準であり、有限責任である株式会社の取引先が安心して取引できるよう債権者保護のための制度でもあります。
資本金が1円ということは、もし取引上トラブルがあった場合、当社は1円しか責任を負えませんと宣言しているようなものです。
ご自身が取引先だとして、このような会社と安心して取引できるでしょうか?
対外的な信用として取引の規模に応じた資本金の額を準備することが望ましいと思います。
役員任期は最長10年にできる
役員の任期は2年以上、最長10年まで設定できます。
任期満了のたびに役員変更登記をする必要があるので費用を節約するためにも任期を最長の10年に設定するといいでしょう。
ただし、友人や知人と共同で株式会社を設立する場合、将来、関係が悪化しても簡単に解任するという訳にもはいきません。
役員である以上、役員報酬を支払う必要があり、支払いを巡って訴訟沙汰になることもあります。
ですので、状況によって任期を短く設定することも検討した方が良いかもしれません。
会社の種類
会社には株式会社の他に「持分会社」と呼ばれる合同会社、合名会社、合資会社の4種類があります。
株式会社では社員(出資者)の地位を「株式」といいますが、持分会社では「持分」といいます。
持分会社の特徴は社員の全員が業務執行権を持ち、意思決定は社員の頭数の過半数で行われ、利益分配も定款で自由に決められることです。
また、株式会社と合同会社は社員が有限責任を負いますが、合資会社には有限責任と無限責任を負う社員がおり、合名会社では社員全員が無限責任を負います。
持分会社は法人も社員になれるため企業同士の合同事業に適しています。
また、合同会社は株式会社と比べ定款の認証が不要で登録免許税も安いです。
家族経営で出資者も事業主か家族だけ、将来誰かに出資してもらう予定もないなら合同会社を選択することもお勧めです。