株式会社を設立ために最初に考えておくべきことをご紹介します。
資本金
株式会社を設立するには、まず資本金を準備しなければなりません。
以前は最低資本金制度というものがあり株式会社では最低1,000万円、有限会社でも最低300万円を準備する必要がありました。
しかし、新会社法では最低資本金制度は廃止され資本金の額は自由となり1円からでも株式会社が設立できます。
もっとも、1円で株式会社を設立することはあまりお勧めしません。
資本金は会社の財産を確保するための基準となるのもで、出資者(株主)が有限責任しか負わない株式会社では、取引先が安心して取引できるかどうかの判断基準でもあります。資本金は債権者保護のための制度でもあるのです。
資本金が1円ということは、もし取引上トラブルがあった場合、当社は1円しか責任を負えませんと宣言しているようなものです。
ご自身が取引先だとして、このような会社と安心して取引できるでしょうか?
資本金は帳簿上の金額であり、設立後の運転資金として使ってしまいますので、実際には株式会社の財産は資本金の額に満たない場合もありますが、対外的な信用として取引の規模に応じた資本金の額を準備することが望ましいと思います。
商号
商号とは株式会社の名前です。
以前は同一市区町村内で同じ事業目的の株式会社があると、その株式会社と類似の商号は使えませんでした。
現在では、同一住所地を本店とする同一商号のみが禁止されておりますので、オフィスビルなど多くの会社が同じ住所に集まっているといったケースでなければ、同一住所地で同一の商号というのは考えられないといえます。
ただ、気をつけなければいけないのは同一商号が登記上可能というだけで、世間一般に知られている商号やネット上で検索すると表示される商号など既に存在する商号を使用することは不正競争防止法違反、商標法違反で訴えられる可能性があります。
商号はできるだけオリジナリティのあるものを考えることをお勧めします。
事業目的
目的とは株式会社として法人がおこなう事業内容です。
法人は「定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において権利を有し、義務を負う」とされています。
これから行う事業、将来行う計画がある事業に関してはあらかじめ定款の目的に定めておかなければなりません。
定款に記載する目的には適法性、営利性、明確性が必要です。
法律に違反しない事は当然として、株式会社は営利法人なので無料やボランティアという記載はできません。
また事業内容の表現が明確であることも必要です。
イミダスや広辞苑などに掲載されているような事業なら登記上問題ないようですが、未知の事業を始める場合には事前に法務局で相談する必要があります。
機関設計
株式会社の機関には①株主総会②取締役③取締役会④代表取締役⑤会計参与⑥監査役⑦監査役会⑧執行役⑨代表執行役⑩委員会及び外部機関として会計監査人があります。
会社の規模や事業内容に応じてこれらの機関を組み合わせることを機関設計といいます。
株式会社は株主総会と取締役1人がいれば設立できます。
これから事業を始める場合や家族経営の場合など小規模事業ならば役員が最少人数になるように機関設計するのがよいと思います。